2005年12月23日

ナイト・トレイン / オスカー・ピーターソン

どの世界にも、その人ならではのキャッチコピーというものがある。それが一生ついて回ることもある。有名なピアニスト、オスカー・ピーターソンについて回るキャッチは「超絶技巧」だ。確かに上手い。文句なしで。でもきっと、オスカーは超絶技巧を目的にしていたわけではないのは明らかで、ただひたすら演奏を楽しみたい、聴き手を楽しませたいという純粋な思いで鍵盤上を縦横無尽に疾駆していただけに違いない。

ナイト・トレイン」を聴いていただきたい。確かにオスカーは上手い。だけど、それが聴きどころかな。そうじゃないよね。音楽って「音を楽しむ」っていう意味だよね。それが大事なんだ。思い出した?・・・ピアノを弾きながら、もの凄く単純な真実を無言のうちに語るオスカーの横顔が浮かぶ。

特にこのアルバムはブルースのオンパレード。オスカーは「俺はカナダ人である以前に黒人なんだ。忘れてた?」と語りかけてくる。俺は本当はこういうのを演りたいんだ。共感してくれるよね。いいよ別に、答えなくても。

オスカーのブルースにキャッチをつけるとしたらどうだろう。「C Jam Blues」なら疾走するブルース、「Night Train」なら気ままなブルース。「Georgia On My Mind」なら懐かしくいとおしいブルース。あとに続く曲も、ゴージャスなブルース、泣けるブルース・・・と、いろんな言い方ができる。でもどんな表現でもいいじゃない。僕等が楽しく聴ければ、そう、オスカーもきっと喜んでくれるに違いない。

Posted by e-ueda at 2005年12月23日 23:38